最強の脳は走ってつくる☆


おすすめしたいのが「ランニング」。走って脳を鍛えることです。ランニングには、ダイエットや体型・体力の維持などを期待する人が多いと思いますが、その効果は身体よりもむしろ脳にこそ表れていると言っても過言ではありません。

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仕事がデキる人は走りながら脳を鍛えている

ランニングをすると、主に「海馬」と「前頭葉」が鍛えられます。海馬は記憶力、前頭葉は脳の司令塔として、集中力や計画力、発想力、判断力、思考力、そして感情までをも司っています。役割を会社の役職に例えるなら、前頭葉が「社長」で、海馬はその補佐役の「秘書」といったところでしょうか。

共通するのは、どちらも仕事で高いパフォーマンスを発揮するための必須能力を司っているということ。ランニングとは、身体を鍛えると同時に記憶力や集中力、さらには発想力といった脳機能全体を高めることのできる、最強のパフォーマンスアップ・ツールなのです。

クリエイティブな人や年収が高い人ほど、体を激しく動かす運動に熱心に取り組む傾向があるそうです。どういうことかというと、18歳から34歳で高額所得者(年収750万円以上)の人たちは、スキューバダイビング、スキー、テニス、そして旅行などで体を動かす回数が、低所得者(年収300万円以下)に比べて2倍も多い傾向にあるということがわかったのです。

体を動かすことで脳が刺激され脳機能がアップし、仕事効率もよくなる。さらにドーパミンやセロトニンが放出されるため、気持ちが前向きになる。こうした効果が積み重なり、結果として年収が高くなる。経営者などエグゼクティブと言われる人たちにランナーが多いのも、あながち偶然ではないのかもしれません。

◆走ると起こる「脳にいいこと」

なぜ走ると脳が鍛えられるのか。その答えのひとつには、筋肉が大きく関係しています。

足を動かすだけで脳が刺激される

筋肉を動かすと、その中にある感覚器から信号が発せられ、脳が活性化されます。とくに足は筋肉量が多く感覚器が集中しているので、走ってここを動かすと、絶大な効果が得られるというわけです。この足の筋肉からの信号だけで、記憶・発想・想像力が10%増大するとも言われています。

血流改善で脳に栄養が行きわたる

さらに、筋肉は心臓から送られてきた血液を送り返すという「ポンプ」の役割を担っています。酸素をたくさん含んだ血液が脳に行き渡ることで、脳はさらに活性化されます。体を動かせば血行がよくなるというのは、ある意味当たり前のようですが、脳を働かせるためには十分な酸素が必要ですから、その酸素を運んでくれる血液の流れを改善させることは、非常に重要なことなのです。

走った後の血流反応を見ると、とくに真っ赤に反応しているのが海馬と前頭葉。走ると頭がスッキリすると感じるのはこのためです。

脳細胞が増える

ランニングで血のめぐりがよくなり、脳内が新鮮な酸素を含んだ血液で満たされると、脳細胞が増えるという現象が起こります(ニューロン新生)。脳細胞が増えるというのは、バイパスが増えていくのと似ています。

バイパスが増えると全体的に交通の便がよくなり、移動スピードが速くなります。これと同じように、脳細胞が増えると、細胞同士をつなぐ部分(シナプス)が太く、強く、しっかりとしてくることで連結が強化され、情報伝達のスピードが加速していくといったイメージです。

海馬が大きくなる=記憶力がUPする

このことは、海馬を対象にした実験で数多く報告されています。脳細胞の数が増え、それぞれの連結部分が太くなっていくと、重さにも変化が出てくるのです。海馬は記憶を司る器官ですから、鍛えれば当然記憶力が上がります。

語呂合わせで歴史の年代を覚えるなど、物事をたくさん覚えるための効率の良い学習の方法は昔からいろいろとありますが、どれも本当の意味で記憶力を高めていることにはなりません。海馬自体を効率よく大きくするには、やはり走ることが一番なのです。

脳細胞の成長因子「BDNF」が増える

息が上がるぐらいの中強度の有酸素運動を継続的に実行すると年をとっても神経細胞(ニューロン)が新しく再生されたり、毛細血管が増加することがわかっています。そのため、ジョギングなど中強度の有酸素運動を継続すると、心臓や肺の機能が高まり酸素が体の隅々まで行き渡ります。

そこで二酸化窒素が発生して血管が柔らかく強くなって、破れたり、詰まったりしにくくなるのです。また、有酸素運動によって、脳内で傷ついた毛細血管の代わりに、新しい毛細血管がつくられます。それによって、さらに新しい神経細胞ができ、シナプスも生み出されるので、一度衰えた「脳内ネットワーク」を強化することができます。

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◆体を鍛えながら脳を鍛える走り方のコツ

とはいえ、ただやみくもに走ればいいわけではありません。走って脳細胞を増やし、脳機能を全体的に高めるためには、適切な基準があります。それは自分にとって適度な速さをキープし続けること。そのときの気分でのんびり走ったり、逆にむやみにスピードを上げ過ぎてしまったりしては、せっかくの脳への効果が半減してしまいます。

では、自分に合った速さを見つけるにはどうしたらいいのか。ポイントとなるのは「運動強度」です。運動強度とは、走っているときに体にどれくらいの負荷がかかっているのかを、脈拍などをもとに数値化したもの。例えば同じ距離を走るにしても、スピードの速い遅い、坂道か平坦な道かによって脳や体が受ける刺激はまったく異なります。運動強度を何パーセントに設定するのかで、得られる効果も変わってくるのです。

脳を効果的に鍛えるためには、【運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月】という基準で行うのが最も効果的です。

運動不足はアルツハイマー病の22%に影響し、1週間に3回、20~30分間の有酸素運動で改善効果が表れるとしています。また、2015年に発表された米国の研究「ランナーとウォーカーの健康調査(National Runners, and Walkers and Walkers, Health Study)」による報告では、アルツイマー病予防に効果のある運動のひとつとして、毎週75分間のランニング(週3回に分けると1日25分)が挙げられています。

ほかにも「1日40分の有酸素運動を週3日実施で海馬が大きくなった」とか「15分以上のジョギングを週3日行うことでアルツハイマー病の発症を予防できる」といった報告もあります。実験するうえでの細かな設定は異なるものの、これらを総合的にとらえると、先ほどの基準【運動強度60〜80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月】で行うのが、脳に刺激を与える最低ラインと言えるのです。

たまに、ぜえぜえと息が上がるほどの猛スピードで走っている人を見ることがありますが、脳細胞を増やし脳機能を高めたいのであれば、もう少しスピードを落とし強度を低くする必要があります。ただやみくもに適当なペースで走るのではなく、運動強度を意識する。これが、脳を鍛える走り方の基本です。

◆デュアルタスク・トレーニングでさらに集中力を高める

集中力は、主に前頭葉を鍛えることで高められます。前頭葉は継続してランニングすることでも鍛えられますが、より効果的な方法として「デュアルタスク・トレーニング」をご紹介します。「デュアルタスク」とは、2つのことを同時に行う「ながら動作」のことです。

例えば「外を歩きながら会話をする」というのもその1つで、実は日常生活の中でもさまざまな場面で自然と行っていることでもあります。ながら動作を行うと、前頭葉のワーキングメモリ(おでこの端っこの部分)が活性化されるのです。

エスポジト博士の研究では、単一作業を行っているときに比べ、ながら作業を行っているときの方が、この部分がより優位に活性されると観察されています。前頭葉は脳の司令塔とも言われる要の部分で、運動を行う機能と思考をつかさどる脳の最高中枢です。ここの働きが悪くなると、状況判断力の低下などあらゆる面で悪影響を及ぼします。逆に言うと、デュアルタスクで刺激を与え続けることが全体的な脳機能の向上につながるのです。

ここでは、簡単に前頭葉を鍛える方法として「ひとりじゃんけんラン」を紹介します。「ひとりじゃんけん」とは、文字通り両手を使ってひとりでやるじゃんけんのことですが、毎回必ず勝負がつくようにグー・チョキ・パーを出すので、本来単体でも結構な集中力が必要になります。

この難しい作業を走りながら行うことで集中力を分散させ、より複雑な作業にするというのがトレーニングのミソです。前頭葉を鍛えるうえでは、この「複雑化」が最も重要なのです。

【STEP1:基本動作】
①走りながら腕を前に振る際にジャンケンをする。まず「前に出す手」でグー・チョキ・パーのいずれかを出す。
②次に、反対(後ろ)の手で①に対して「負ける手」を出す。
③ジョギングをしながら、この一連の動きを続ける。

基本動作に慣れて、もっと前頭葉に刺激を与えたいという人は、STEP2のトレーニングを試してみてください。やることは同じですが、3回ごとに「勝つ」「負ける」を切り替えることで動作を複雑にしています。

【STEP2:応用編】
①ジョギングしながら、基本動作と同じように「前に出したグー・チョキ・パー」を「勝つ手」、「反対(後ろ)の手」を「負ける手」としてジョギングをしながら3回実施する。
②次に、「前に出す手」を「負ける手」、「反対(後ろ)」は「勝つ手」にして3回実施する。

ウォーキングや階段の昇り降りをする際にも応用できます。ぜひ、普段の動きにひとりじゃんけんを加えてみてください。

◆3分でひらめきを生む方法

長時間のデスクワークは、集中力だけでなく発想力をも低下させます。そのまま煮詰まってしまうくらいなら、思い切って席を立ち、走りましょう。時間はたったの3~5分、方法も「その場駆け足」や「階段ダッシュ」といったごく簡単なものです。

一時的に発想力を高めたいのであれば、運動強度90%の走りを3~5分行うだけでも十分効果が期待できます。

その場で思い切り走る、ビルの1階から最上階まで全力で駆け上がるというような、心拍数を一気に上げる走り方をすると、一息ついていると前頭葉に新鮮な酸素を含んだ血液が大量に送り込まれることで、ひらめきが生まれたり思考がクリアになったりするのです。走る前と後では、後の方が注意力・思考・意欲などの能力が13%上昇するという報告もあるくらいです。

目安としては、息が上がるくらいの走り方を心がけてください。思い切り走ったら、ゆっくりと歩きながら呼吸を整え、椅子に座って軽く目を閉じましょう。それまでの苦労を吹き飛ばす、すばらしいアイデアが出てくるかもしれません。

時間があれば、外に出て軽く散歩をしてみるのもおすすめです。スタンフォード大学の研究者によって、人は座っているときよりも動いているときの方が、平均で約60%もクリエイティビティを発揮すると証明されていますが、その効果を知ってか知らずか、世界の偉人たちの中には散歩の効果をうまく取り入れている人たちが数多くいます。

例えば、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、ツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏の3人は、散歩ミーティングの推奨者として知られていますし、古くは哲学者アリストテレス、ドイツの哲学者カント、哲学者ルソーといった偉人たちもよく歩きながら考えていたといわれています。

短時間で結果を出すという意味では、会議室の中で一斉にその場駆け足を行い、一息ついてから案を出すというようなやり方も効果的かもしれません。皆で体を動かすことでざっくばらんに話せる雰囲気になりますし、発想力の面でも脳力アップしているので、新規性のある意見やアイデアが期待できます。

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